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私的旅行記

グァナファト
そこは本当におとぎの国から飛び出てきたような場所だった。中世ヨーロッパのコロニアル世界だ。そして学生の街。自分が10年若かったら留学することを考えたかもしれない。メキシコへこれから行こうとしている人は騙されたと思って行ってみたらいい。そして夜の街をさまようことできっとその訳に気が付くことになるだろうから。
この街で多くの旅人と知り合った。ドイツ人、イギリス人、そして日本人。ドイツ人は5年前も一人旅の途中立ち寄り、今回は彼女にこの地を是非見せたくて2人で来たのだと言っていた。日本人はユナイテッド航空の世界一周チケットを使って香港、インド、イギリス、そしてメキシコと40日間でまわってあさって日本に帰るところだという。彼はメキシコは嫌いだと言っていた。理由を尋ねると言葉が通じないからだそうだ。そしてインドも嫌いだという。騙されることばかりでうるさいインド人にしつこくつきまとわれたからだそうだ。

私は心の中でそれは違う、それは飛行機の都合だけで何の脈絡もない4カ国をイージーに回りすぎ心が食あたりを起こしているからだと言ってやりたかったがやめといた。いろいろな世界を一度に回るには移動はやはり地続きの方がいい。心の準備もなく飛行機で簡単に移動すると慣れない人は心の食あたりを起こすと思った方がいい。

インドに行くのはもっとゆっくりしたサイクルでじっくり腰を落ち着けて行ったら良かったのにと彼に話した。彼が行ったのはきついだけの通称ベナレス街道(デリーからヴァラナシを経てカルカッタまでの観光ルートのこと)だけだったのもその一因だろう。いずれにしてもいくら安いからといって意味のないただ欲張っただけの旅行は好きではない。もちろんそれぞれに自分なりのテーマがあれば別であるが、何か表面だけしか見てこれなかった彼をよけいなお世話だが不憫に思った。