VOAR旅情報
古びた石造りの建物がひっそりと佇んでいる町
南米の最小国ウルグアイ。その首都モンテビデオは世界一広い川、ラ・プラタ川の河口に開けた町。アルゼンチンの首都のブエノスアイレスのちょうど対岸にある。かつてはヨーロッパ向けの牧場で潤い、模範的な社会制度を誇ったが、戦後の工業化の立ち遅れのため、ブエノスアイレスとは対照的にひっそりと佇んでいる感がある。
古びた石造りの建物が続き、そこを1940年、50年代の、色が剥げかかったクラシックカーがのんびりと行き交う。町の人たちもいたって穏やかだ。カフェでゆっくりお茶を飲む人、ベンチで新聞を広げる人、そんな都会を感じさせない静けさがこの町の魅力といえる。町自体もとてもコンパクトだ。デパートやレストランが並ぶ7月18日通りの突き当たりに、独立広場やサルボ宮殿、ソリス劇場など、町の見どころが集まっている。
ところで、タンゴというとまずアルゼンチンを連想するが、ここの人に言わせれば、名曲『ラ・クンパルシータ』を作曲したマトス・ロドリゲスがウルグアイ人なら、先に愛唱していたのも自分たちだと主張する。それはさておき、ブエノスアイレスと並んでタンゴのメッカなのは確かだ。カフェにはタンゴが流れ、タンゴを楽しめるクラブも多数ある。特に11月のタンゴ週間が圧巻。店はもちろん、町じゅうがタンゴ一色に染まる。さしも静かなこの町も、この1週間だけはタンゴで沸きかえる。