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VOAR旅情報

地球の空気と人の心を洗う、大アマゾン
初めて目にしたアマゾン川は、川と呼ぶにはあまりにも大きかった。

ペルーのアンデス山脈に源を発し、マナウス、サンタレン、ベレンを経て大西洋に注ぎ込むまで、南米大陸を横切ること約6,500キロ、想像を超えた長さだ。川幅も河口付近になると320キロもあるというから、日本の川とはスケールが違う。
では、そんなアマゾンを肌で感じるにはどうするか。一番いいのは船に乗って川面に浮かんでみることだ。アマゾンの観光拠点になっているマナウスの町からは日帰りのツアーも沢山出ている。直径1メートルもあるオオオニバスを見学したり、ピラニア釣りをしたり。けれどできれば、こうした日帰りツアーよりも、密林の中にあるロッジに2~3日滞在し、大自然に包まれて生活することの素晴らしさを体感してみたい。


というわけで、マナウス郊外にあるトロピカルホテルの桟橋から船に乗り、ネグロ川を遡ること約3時間。着いたところが、「アリアウ・ジャングルタワーロッジ」だった。

船が着くと同時に、出迎えてくれたのは真っ黒なクモザル。初対面だというのに長い腕を伸ばして、子供のようにダッコをねだる。まるでターザンかジェーンにでもなった気分だ。ロッジの周辺には、他にも沢山の猿や鳥がいたが、朝もやに煙る悠久の大地を極彩色の鳥が舞う姿は、今でも忘れられない感動的な風景だった。この時ほど、朝起きをしてよかったと思ったことはない。

滞在客にアマゾンの豊かな自然をたっぷり味わってもらうのと同時に、楽しみながらその大切さも知ってほしいというのが、ここのロッジの姿勢で、ジャングルトレッキングをはじめ、ワニ狩り、ピラニア釣りなど、自由に参加できるツアーが、たくさん用意されている。

滞在中はいくつかのグループごとに専任のガイドがつき、行動を共にする。ブラジル、スペイン、メキシコ、アメリカ、ノルウェー、そして日本。国や言葉は違っても、自然を慈しむ心は同じで、みんなすぐに友だちになれるのも、ここのロッジの魅力だ。

滞在中、私もひととおりのツアーに参加したが、なかでもおもしろかったのがピラニア釣りだ。牛や馬でもあっという間に食べ尽くしてしまうという、あのピラニアを釣るというのだから、これは挑戦しないわけにはいかない。配られた竿は、以外に簡単なものだったが、エサは血が滴り落ちるようなビーフと、なかなか贅沢である。ピラニアというと、なんでもかんでも食べてしまうように思いがちだが、そうではない。血のにおいに引きつけられてくるのだという。だから傷さえなければ、ピラニアがたくさんいる川で泳いでも、全く心配はないのだ。

さて、釣果はというと、エサのつけかたが悪いのか、引き上げるタイミングが悪いのか、これがなかなか難しい。エサをつけて糸を垂らすと、「イッタダキマ~ス!」と、いとも簡単に肉だけ食べられてしまう。川底には、何匹、いや何十匹というピラニアが獲物を狙ってウジャウジャと群れているというのに。なんて憎らしい奴らだ。周りをみると、みんな結構釣っていた。ピラニアも相手を選ぶのかもしれない。

アマゾンで過ごした2泊3日の旅はこうしてアッという間に過ぎてしまった。できればもう2~3日.....と思いながら、後ろ髪を引かれる思いで、アマゾンに別れを告げた。